基礎知識

基礎知識
とうもろこしはイネ目 イネ科 トウモロコシ属の植物です。特に発芽してから実をつけ、種を残し枯れるというサイクルが一年以内に行われる「一年生植物」と呼ばれる仲間に属しています。

とうもろこしについて

植物としての特徴

とうもろこしにも雄花と雌花が別々にあります。実際には花はさきませんので、雄小穂(しょうすい)と雌小穂とも呼ばれます。雄花と雌花がひとつの株に成るため、雌雄同株(しゆうどうしゅ)という植物の仲間です。とうもろこし畑などでよく見かける、てっぺんにあるふさふさとしたススキの穂のような部分が雄蕊(おしべ)で、とうもろこしの実についている「ひげ」が雌蕊(めしべ)で、花柱とも呼ばれています。

とうもろこしは、生長すると2mもの高さまで育ちます。雌しべと雄しべがひとつの株にできるため、1株でも実をつけることはできますが、花粉が風に運ばれて受粉するため、たくさんのとうもろこしを育てるのが一般的です。

とうもろこしは強い植物?

とうもろこしはもともと南アメリカの熱帯地方という厳しい環境で栽培されていた植物なので、高温や乾燥した状態でも二酸化炭素を取り込める性質があります。また、厳しい環境で育ったため、稲や小麦よりも雑草に強い性質があるとも言われています。ただし、作物として長く栽培化されてきたため、現在では人の手無しに野生することはできません。

「とうもろこし」の書き方

とうもろこしを漢字表記しますと、「玉蜀黍」と書きます。英語で書くとcornとなり、カタカナ語の「コーン」はとうもろこしを指す言葉として、日本でも馴染んでいます。ただし、イギリスではcornは穀類全般を指して、とうもろこしはmaizeと呼ばれることもあるそうです。

いい「とうもろこし」の選び方

とうもろこしのひげとうもろこしの「ひげ」が実をつけるめしべであるということは、ひげの多いとうもろこしほど多くの実がついているということになりますね。とうもろこしを選ぶときは、ひげがふさふさしているものを選ぶというのも、ひとつの方法かと思います。



とうもろこしの品種の分類

とうもろこしの種類一口にとうもろこしといっても、用途や性質によって交配や改良を重ね、様々な品種が開発されてきています。とうもろこしの品種についてもっと深く知るために、とうもろこしの性質の分類と、それぞれの特徴などについてご紹介しましょう。

甘味種(スイートコーン)

スイートコーン一般的に食用として用いられ、「とうもろこし」と聞いた際に多くの人が思い浮かべるのがこのスイートコーンです。粒に含まれる糖分が多いため、甘みがあります。

とれたてをそのまま茹でるなどして食べられ、私たちに一番なじみ深い品種です。また、コーンスープやコーンフレークなどの加工食品用の材料にもなります。

さらに、イエロー種とバイカラー種に分けることができます。粒の色がすべて黄色いとうもろこしをイエロー種と呼びます。バイカラー種は「2つの色」という意味で、色が黄色い粒と、白い粒が混ざっているものです。粒の色が2色に分かれるのは黄色と白のとうもろこしが掛け合わされてできた品種だからです。

近年、生で食べられる品種も生まれており、甘さとみずみずしさ、その皮の柔らかさから、まるで果物のように食べられるとうもろこしとして注目を浴びています。

爆裂種(ポップコーン)

この爆裂種は粒の皮が非常に硬いのが特徴です。この皮が硬い特徴を利用したのが、スナック菓子の「ポップコーン」というわけです。とうもろこしを熱すると粒の中の水分が水蒸気となって膨張しますが、この爆裂種の皮が膨張する水蒸気の圧力に耐えて、程よいところで皮がやぶれ、はじけて開きます。

馬歯種(デントコーン)

主に乾燥させて、豚や牛、鳥など、家畜の飼料として使われている品種です。生長過程で糖分がデンプンに変わってしまうため、そのまま食べるのには向いていない品種ですが、とうもろこしのデンプンを取り出した「コーンスターチ」の原料として私たちの生活のいろいろな場面で役立っています。

硬粒種(フリントコーン)

加工して食用に、あるいは家畜用飼料や工業用の原料に使用される品種です。角状デンプンと呼ばれる硬いデンプンが粒の全体についているのが特徴です。メキシコ料理のタコス、トルティーヤにこの品種が使われます。爆裂種も、もともとはこの品種から生まれたものです。

もち種(ワキシーコーン)

粒の中に含まれるでんぷんにもち性があり、若いうちに収穫して蒸すと、モチモチとした食感があるのが特徴です。日本にも数種の在来種があり、白、黄色、黒、紫などの色の「もちとうもろこし」として食べられてきました。ワキシーコーンの名前の由来は、完熟させると粒の表面がツルツルになり、まるでワックスをかけたようだからということです。

軟粒種(ソフトコーン、フローアコーン)

粒の大部分がやわらかいデンプンで形作られていて、実がくだけやすく断面が粉状になるのが特徴のとうもろこしです。含まれているデンプンの多くがしなやかで濃度の薄いものであるフローアコーンは、粉にひきやすい品種とされています。南米の高原地帯で栽培されることが多い品種です。

ポッドコーン

粒のひとつひとつが、頴(えい)とよばれるころもに包まれている品種です。ゾウムシという害虫に強く、熱帯の環境での栽培に適しており、温度の低いところでも受粉することができるとうもろこしです。粒の上部にまで硬いデンプンが広がっていて、へこみがない粒になります。

ジャイアントコーン

食感がややボソボソとしていて、甘みが少ないとうもろこしですが、名前のとおり粒が大きい品種です。粒の大きさは2cmほどにも生長します。南米の高地の限られた地域でのみ栽培されており、日本での栽培は難しいとされています。油で揚げたおつまみや、ポン菓子として食べることが多いです。