意外な用途のトウモロコシ

意外な用途のトウモロコシ

とうもろこしは、茹でたり、焼いたり、料理に入れたりなどしてそのまま食べるという印象が強いかとおもいますが、実は様々なものに加工されて、私たちの生活のあらゆる場所に溶け込んでいます。

食べ物に関係することから、野菜としてのトウモロコシからは想像もつかない使い道まで、まだまだ多くの可能性を秘めているトウモロコシの意外な用途をご紹介します。


食用の用途

製粉

タコスとうもろこしを乾燥させて粉にしたものが「コーンスターチ」です。トウモロコシを粉にして利用することは、トウモロコシ栽培の初期の頃から行われていました。探検家のコロンブスがアメリカにたどり着いたときも、トウモロコシ粉からつくられたパンをふるまわれたそうです。

アメリカ大陸では古来より、トウモロコシを主食として用いてきました。メキシコのタコスやトルティーヤなどが有名かと思います。その他の地域でも、コーンブレッドや、中国ではトウモロコシ生地の蒸しパンなどもあります。

また、近年でもよくみられるのが、トウモロコシ粉を生地に使用したスナック菓子があります。ポテトチップスとはまた違った食感で、お好きな方もいらっしゃるのではないでしょうか?みなさんの好きなスナック菓子の原材料を見てみると、「とうもろこし」と記載してあるかも知れません。

酒、茶

お酒南アメリカのアンデス地方に「チチャ」というお酒があるのですが、これもトウモロコシからつくられています。チチャは古い歴史のあるお酒で、ぶどうのような味がするそうです。

また、ウィスキーの一種である「バーボン・ウイスキー」もトウモロコシを原料とするお酒です。特に原料の80%以上のトウモロコシが使われたものを「コーン・ウイスキー」と呼びます。また最近では日本でも「トウモロコシ焼酎」なんていうものもあるそうです。

お酒とは違いますが、韓国ではトウモロコシを焙煎したお茶もあり、「コーン茶」「オクスス茶」といわれ、伝統的なお茶として今も愛されています。

コーン油

トウモロコシの胚芽には油分が含まれており、それを抽出したものがコーン油(コーンオイル、とうもろこし油)です。主にサラダオイルとして、サラダのドレッシングやマヨネーズ、天ぷら油などの食用油として使用されます。また、マーガリンの材料としてもよく使われ、バターの代用品としていろいろな料理に用いられています。

ひげ

トウモロコシの「ひげ(花柱)」には生薬としての作用があり、乾燥させたものは「南蛮毛(なんばんもう)」と呼ばれ、漢方のひとつとして重宝されています。南蛮毛はカリウムなどの成分をふくんでいて、利尿作用があり、体内の余分な物質を体外へ排出するのを助ける効果があります。

食用外の用途

飼料

飼料トウモロコシは私たちの食用としてだけでなく、豚や牛、鳥などの食べ物としても多く使われています。世界で生産されているトウモロコシの半分以上が養鶏・畜産用飼料として消費されており、今日においてのトウモロコシの重要な用途のひとつです。

飼料用としてつかわれるのは普段私たちが食べるスイートコーンと違い、馬歯種(デントコーン)、硬粒種(フリントコーン)という品種です。

茎・葉

実だけではなく、茎や葉にも活用方法があります。茎・葉は堆肥(たいひ)の材料としてすぐれており、一度土から抜いておき、その後枯れたものを細かくして畑にすき込めば、肥料として利用することもできます。

工業用でんぷん

トウモロコシは多くのデンプンを含んでおり、高純度のデンプンを効率よく抽出することができるため、工業用にもよく使われています。トウモロコシのデンプンからは紙や糊をつくることができ、発酵させると、糖やエタノールなどのアルコールとしても使用できます。

プラスチック

化学研究近年、注目されているのが、「ポリ乳酸」とよばれる生分解性プラスチックとしての用途です。

ポリ乳酸はトウモロコシを原料として製造されるので、通常のプラスチックと比べて石油資源の節約につながると考えられています。また、ポリ乳酸には微生物などにより二酸化炭素と水に分解される「生分解性プラスチック」としての効果も期待されています。

バイオエタノール

バイオ燃料トウモロコシを「バイオエタノール」と呼ばれる燃料として利用する試みも始まっています。バイオエタノールはバイオマスエタノールとも言われます。

トウモロコシからつくることができるので、石油資源のように枯渇しない、持続可能な新しいエネルギーとして注目を浴びており、現在その利用法について多くの研究がなされています。